クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「どれもおいしそうですね」

「うちのお菓子も、ぜひたくさんお持ち帰りください」


メイ同様に、あれもこれもと箱に詰めていく。結局は胸に抱えるほどの大きさの箱ふたつ分にまでなってしまった。

その店を出れば、また別の国民に声をかけられ、マリアンヌはあちらこちらへと連れまわされた。

マリアンヌはどこへ行っても笑顔を絶やさず、年寄りを見かければ「お体を大切になさってください」と溢れる優しさを見せつける。人当たりのいいマリアンヌは、短時間のうちにすっかり国民の人気者になってしまった。

最後には馬車いっぱいにお土産が積まれ、大勢の人たちに見送られて王宮へと帰り着いた。


「マート、今日は本当にどうもありがとう」

「いえ、私がいる意味はあまりないようでしたが」


マリアンヌがお礼を言うと、マートは照れくさそうに頭を掻いた。


「そんなことはありません。マートがいてくださったから、安心してみなさんのところを回ることができたのですから。それに荷物も持たせてしまってごめんなさい」

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