クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「そのくらいのこと、いつでもお申し付けくださいませ」


マートは嬉しそうに笑った。


「レオン様は、まだお仕事中かしら」


街でいろいろといただいたお土産をレオンのところへも届けようと思ったのだ。昼の時刻はとうに過ぎて陽は傾きかけているが、もしも仕事の邪魔でなければ届けたいと。


「お届け物でしたら、私がいたします」


マートが任せてほしいとばかりに提案する。
しかしマリアンヌは自分で持っていきたかった。


「ううん、大丈夫。それともお邪魔かしら……? ほんのちょっとでいいんだけど……」

「今のお時間でしたら、レオン殿下は自室にいらっしゃるかと存じます」

「本当に!?」


ついパッと華やいだ顔を浮かべる。


「それじゃ私、行ってみます」

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