クールな王太子の新妻への溺愛誓約

マリアンヌは、いただいたお土産の中から揚げパンとクレームブリュレを取り出し、そのほかのものはマートに託した。侍従や侍女たちに分けてあげてほしいと。

レオンの部屋の場所がわからないので、すでに宮殿のことを把握している頼もしいベティの後に続き、長い回廊を歩く。

(レオン様、喜んでくれるといいな……)

袋をひとつと箱をひとつ抱え、ただ一度だけ見せてくれた笑顔を思い浮かべた。
不意にベティが足を止める。


「――え!? レオン様のお部屋って、ここなの!?」


マリアンヌは思わず声を上げた。


「はい、さようでございます」


なんとそこは、マリアンヌの部屋の隣だったのだ。
こんなに近くにレオンの部屋があるとは思いもしなかったマリアンヌは、驚きに息を吸い込み肩を上下させて吐き出した。


「それならそうと教えてくれればいいのに」

「聞かれなかったものですから」


不満を持って唇を突き出すと、ベティはさらっと答えた。

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