クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「ありがとうございます」
マリアンヌは腰を下ろして「食べてみてください」と言い、レオンが袋から揚げパンを取り出すのを今か今かと待ちわびる。
渋々ながらもレオンは袋からひとつ取り出し、それを持ったまましばらくパンを見つめる。
(どうしたのかしら……?)
マリアンヌが不思議に思ってみていると、レオンはおもむろにそれを半分に割った。そして半分のうちのひとつをマリアンヌへ差し出す。
「……いいのですか?」
「いいも悪いも、一緒に食べようと思って持ってきてくれたんじゃないのか?」
そうだとはいえ、まさかひとつを分け合って食べるとは思いもせず、マリアンヌはなんだかくすぐったい気持ちになった。
「はい! ありがとうございます」
満面の笑みで受け取り、すぐにひと口かぶりつく。
(……やっぱりおいしい。作りたてじゃなくても、とってもおいしいわ)