クールな王太子の新妻への溺愛誓約

マリアンヌは持っている揚げパンとレオンの顔を交互に見比べる。


「数年前に亡くなった人とマリアンヌがどことなく」


レオンがまつ毛を伏せる。
そこでマリアンヌは、ベティに聞いた話を思い出した。レオンには以前、国同士で決められた結婚相手がいたと。その女性が若くして命を落としたことを。

(私がその女性に似てるの……?)

思ってもみないことだった。
大切な人に似ていると言われ、胸にチクンと痛みが走る。それは、レオンのことを愛し始めているからなのか。それとも、レオンの報われない想いに同情したからなのか。
マリアンヌは自分の複雑な心境に戸惑った。


「なんていうお方なんですか?」


いったいどんな人だったのだろう。自分にどことなく似ていたという女性のことが気になって仕方がない。


「クレア」


レオンは呟くように言いながらマリアンヌを見た。


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