クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「クレア……」
マリアンヌがポツリと繰り返す。
なんとなく聞き慣れているような、親近感が沸くような気分になる。似ていると言われたせいか、なぜか不思議な気持ちだ。
「どんな方だったんですか?」
「よく笑う子だった。マリアンヌみたいに」
レオンの瞳が寂しげに揺れる。
もしかしたらレオンは、マリアンヌを通してクレアを見ているのかもしれない。
マリアンヌの胸が締めつけられるように痛む。
笑顔が奪われるほどにレオンのクレアを亡くした悲しみは深い。それは、それだけ彼女のことを愛していたということ。そして今もなお。
マリアンヌはいたたまれなくなり、ドレスをギュッと握りしめた。
このままだと、重苦しい空気のままになってしまう。せっかくレオンと一緒にいられるのだ。明るく楽しく。そうやって、レオンの笑顔を取り戻そうと決意したのだから。
「レオン様、そのクレームブリュレもいかがですか? とっても甘くて幸せな気分になれますよ」
マリアンヌは思い切って話題を変えた。