クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「唐突だな」
レオンが目を白黒させる。
「すみません。実は私ももう一度食べたいと思って」
肩をすくめて言うと、レオンは目を細めた。
わずかに上がった口角にマリアンヌの目が釘づけになる。
(――今、笑ったわ!)
嬉しくて、マリアンヌまで笑顔がこぼれた。
「なんだ?」
自分が笑ったことに気づかないのか、レオンが不思議がる。
「いえ、なんでもありません」
マリアンヌは笑顔のまま首を振った。
もしも笑ったことを指摘しようものなら、レオンは無理やりにでも笑顔を封印してしまうかもしれないから。そんなことはさせたくない。
「それがなんでもないという顔か」
不服そうにしながらも、レオンの目元に再び笑みが滲む。