クールな王太子の新妻への溺愛誓約

横顔をじっと見つめる。無理は百も承知の上。今まで距離を置いていた場所なのだ。簡単にイエスの返事がもらえるとは思わない。

ところが思いがけない言葉がレオンの口から突いて出た。


「……いいだろう」

「――本当ですか!?」


しばらく考え込むようにしたレオンが答えると、マリアンヌは両手を胸の前で組んで聞き返す。


「ああ」


レオンは深く頷いた。
きっと断られるだろうと思っていただけに、マリアンヌの喜びは倍増。今なら、ほかの願いも聞き入れてくれるかもしれない。この調子で言ってしまおう。


「それから」

「まだあるのか」


言いだしたマリアンヌにレオンが目を見開く。

< 89 / 286 >

この作品をシェア

pagetop