クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「はい」
にっこり笑い頷くマリアンヌ。
「これからは、朝食や夕食をご一緒していただけないでしょうか。ひとりで食べるのは寂しゅうございます」
「……わかった。できるかぎりそうしよう」
「それと」
「いったいいくつ言うつもりだ」
レオンはさらに頬を綻ばせた。
“氷”という形容が不釣り合いな笑顔を見て、マリアンヌが放心する。
「マリアンヌ?」
「……あ、えっと……」
手と顔をわけもなく左右へ動かし、あたふたとしてしまった。
「またパイプオルガンを聴かせてくださいませんか?」
「パイプオルガンを?」
「あの曲がずっと耳に残っていて……」
ラララとマリアンヌが口ずさむ。
レオンの弾いた曲は、不思議なことにマリアンヌの耳にずっと残っている。
レオンは「たった一度聴いただけで覚えたのか?」と驚いた様子だった。
「はい。とても素敵な曲だったからだと思います。また弾いていただけないでしょうか」
「機会があれば」
「楽しみにしてます」
満面の笑みを浮かべるマリアンヌを見て、レオンは不自然に目を逸らし頷いた。