クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「ベティ、あのバラは?」
センティフォーリアが、こぼれそうになるほど活けられていたのだ。
「さきほどマート殿がお届けに」
「マートが?」
「レオン様からマリアンヌ様へとのことです」
「――え!?」
カップを無造作にテーブルに置き、マリアンヌは花瓶へと駆け寄る。
(レオン様からだなんて!)
顔を近づけると、高貴な匂いが胸いっぱいに広がった。
(でも、それなら直接お持ちくださればいいのに……)
少しずつ打ち解けてはいるものの、未だ一線を引いた感じは否めない。レオンが直に持って来てくれたら、どれだけ嬉しいことか。
ところが、そこでふと気づいた。いつの間にか自分の欲が深くなっていることに。
笑顔を見せてくれただけで最初は嬉しかったのに。今ではもっともっととその先をほしがるようになっていたことをマリアンヌは恥じた。