クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「向こう岸がすぐそばに見えるほど小さいが」
「よろしかったら、今度連れて行ってくださいませんか?」
マリアンヌは目を輝かせてレオンを見つめた。
その勢いに気圧されたようにレオンは目を瞬かせてから、「いいだろう」とゆっくり頷く。
「ありがとうございます!」
手を叩いて喜ぶマリアンヌをレオンは眩しそうに見つめた。
それからほどなくして、馬車がゆっくりと停車する。馬車の窓からふたつの石の塔が見えた。この前降り立った街の入口に着いたようだ。
先に降りたレオンがマリアンヌへ手を差し出す。
(……え? もしかして、その手を取れってこと……?)
マリアンヌが戸惑っているうちに、レオンは素早く彼女の手を掴んだ。
「あ、あのっ……」
気づいた時には、レオンに手を引かれて馬車を降り立っていた。