同居相手はまさかの!?
「…何でこんなに料理うまいの?」


「…別にふつーだろ。」


そう言った時、一瞬、悲しい顔を見せた。


(…?何だろう)


「あ、でも…これあたしの分だけしかないんじゃ…」


「俺はこれ食べてるからもういらない。」


そう言ってあたしの料理を食べてくれた。


「…あのさ。何でそんなムリするの?」


「…ムリなんて別にしてないよ。」


「…あんた明らかに不器用だろ?
本当は不器用なのにわざと出来る素振り見せてない?」

藤堂君の言葉にあたしはドキッとなった。


…バレてた。


本当はあたし、


全然器用じゃない。


不器用なのを隠してた…。


でも…あたしはいつも、


皆の期待に応えないと…。


そう思って今までムリをしていた…。


完璧に見せていた。


「…っ」


その時あたしの目から涙が溢れた。



「ったし…本当は不器用で…でも…皆の期待に応えたくて…。」


【仕事が早い。】


【ネクストヒュージョンのキャリアウーマン】


そう囃し立てられて…


だからこそ皆の意見に応えたいと思った。


…ムリしてたんだ。


…ずっと。


「最初から器用な人なんていねーだろ。
あんたが不器用な事ぐらい最初から知ってる。」


「…え?」


「自分のお酒を酔うタイミング分かってねー時点で分かってた。
どうせ、男絡みのヤケ酒だろ?」


…バレてたんだ。


「あんたは、そのままで良いんじゃねーの?」


そう言って藤堂君はあたしの頭をポンポンした。



昔、頭ポンポンが流行っていた時、あたしにはありえないと思ってた。


…でも今はヤバイ…。



ズルい…。








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