同居相手はまさかの!?
「じゃあ、やるか。茉莉、まな板の準備して。」


…完全に茉莉って呼んでるし


「…はいはい。」


そしてあたしは、藤堂君に言われるがまま、まな板と包丁の準備をした。


「野菜、切って。見てるから。」

「わ、分かった!」

藤堂君に言われ、あたしは野菜を切った。


トントン


藤堂君は側で見ていた。


何か…飲食店の先輩並に怖い…。



(うう…緊張する。)


「あっ!」


…失敗してしまった。


その時


「野菜の切り方はこう…。」 



そう言って藤堂君があたしの背後に周ってきた。


(ち、近い…。)


藤堂君の吐息があたしの耳元にかかっていた。


(近いよ〜!)


「茉莉、集中して。」


「す、すみません!」


「まず、手は猫の手。この時野菜を支えるようにすること。そして…。」

そう言って、藤堂君があたしの手を掴んだ。


「!!」


「ゆっくり…ゆっくり…切る。」


(ガッツリ手握られてるんですけど!)


「…やってみて。」


「は、はい…。」

藤堂君に言われ、あたしは再び野菜を切った。


「ゆっくりで良いから。」


藤堂君はじっと、あたしの様子を見てくれた。


「やったあー!切れた!」


「まあ、出来としては35点かな。」


35点って…。頑張ったんですけど。


「ま、初めてにしては、よく出来たんじゃねーの?」


そう言って笑った。




< 133 / 504 >

この作品をシェア

pagetop