同居相手はまさかの!?
【友也side】

俺はあの後、駐車場を探していた。

「…どこも空いてねーな…。やっぱ今日祝日だから人多いか…。」

しばらく運転をし続け、辺りを見回した。

「お、良かった。ここ空いてる。」

俺はやっと見つけた駐車場に車を停めた。

そして、エンジンを切り、茉莉の元に向かっていた。

その時、茉莉が男二人組に声を掛けられていたのが見えた。

「茉莉!?」

茉莉の顔は完全に困っていた。

(ナンパか?助けないと…)

俺は茉莉の元へ走った。

その時

「何やってんだお前!」

怒鳴り声が聞こえた。

その男は奴らの肩を掴んでいた。

横顔だったが、身長は俺よりも高く、顔もハンサムで

【大人の男性】という感じの人だった。

俺とは何もかも全部真逆だった。

奴らが去った後、茉莉は親しげにその男と話し始めた。

(…何だよ。その顔…。そんな顔…俺には見せてくれねえじゃん…。)

「ねえ…あの二人美男美女でお似合いじゃない?」

「絵になるよねー」

観光客があの二人を見て話していた。

周りから見ても、あの二人はお似合いだった。

俺はあの二人の姿を見てモヤモヤしていた。

まさか自分がこんなにヤキモチを妬くなんて思わなかった。

その男が去った後、俺は茉莉の元へ向かった。

「…今の誰?」

「ああ、会社の上司だよ」

「…ふーん…」

(あんな親しげに話すんだ)

「…何?もしかして妬いてる…?」

そう言って、茉莉が口を開いた。

恐らく俺がいつもそうやってからかうから仕返しだろう。

…妬いてるよ。すごく。

けどそんな感情、俺には持つ資格なんてない。

「…ばかじゃねえの」

そう言って俺はまた、茉莉を冷たくあしらう。

そして、適度な距離を保つ。

その時

「待ってよ!友也!」

茉莉が俺の名前を呼んだ。

…俺は嬉しかった。

そして思わず

「…やっと呼んでくれたな。俺の名前。」

そう言って、茉莉の手を引っ張った。

その時茉莉の顔はまたりんごのように赤くなっていた。

(…かわいい。)

俺は思わず心の中で呟いた。

「今日は恋人としてるから。」

俺がそう言った時

「え!?」

茉莉は、びっくりしていた。

俺はクスクスと笑った。

俺は、彼氏でもないし

嫉妬とかヤキモチとかそうゆう感情を持つ資格はないけど、

でも、今日ぐらいは恋人として茉莉の役目を果たすから…。

だから、手離すなよ…茉莉…。
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