同居相手はまさかの!?
しばらくして、店員さんが持って来た。


「カードお返ししまーす。来ていたお洋服は紙袋に入れましたので〜!」


そう言って、店員さんはあたしに紙袋を渡した。


「ありがとうございました〜」



そしてあたし達はお店を出た。


(買って貰っちゃった…。やっぱお金返した方が良いよね?)


「藤堂君、やっぱお金返すよ!」



その時



「バーカ」


藤堂君が口を開いた。


「え?」



「自分の誕生日ぐらい把握してろよ。」


「あ!」


(そうだ…あたし…今日誕生日だった。
…完全に忘れてた…。)


仕事をしてからは、自分の誕生日なんてとっくの昔に忘れてた。


じゃあ…もしかしてこれって…。


…誕生日プレゼント??


「…どうして?」


「…カード交換の時見たから。」


「もしかして覚えててくれてたの?」


「…かもな。」 


「…ありがとう。」


藤堂君の企みの笑いに、あたしはドキッとしてしまった。


「ちょっとはそうゆうの着て、色気ぐらい出せよ。」


「な!?色気って!」


はそう言って藤堂君は再び笑った。


(…ありがとう。藤堂君。)


あたしは今日、藤堂君に何回ドキドキしたんだろう。 


いつもからかわれてばかりだけど、


たまにこうやって優しくしてくれる。


「腹減ったし、ついでに何か食って帰るか。」


「うん!」


そしてあたし達はしばらくショッピングモールで過ごした。


疑似恋人なはずなのに、


今日のその日は、本当の恋人になれた気がした。


あたしはその日一日中藤堂君にドキドキしていた。


少しずつ…少しずつ…堕ちてしまっていた。



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