同居相手はまさかの!?
「…寒!」


外を出ると、風が吹いており、冷たく感じた。


「まだ、9月中旬なのに…」


冷たい風で酔いが覚めた。


そして、同時に現実を突きつけられる。


あたしの手にはあの部屋の鍵。


鍵を見るたびに藤堂君のあの冷たい目と


まるで…


突き放すような冷たい声…。


それが、何度も繰り返し繰り返し思い出す。


そして藤堂君が言っていた


「《あの事》も?」


…あの事もって何?


…藤堂君は一体何を隠してるの…?


ねえ…


あなたは復讐をする為だけにあたしに近づいたの…?


全部全部…


あたしにしてくれた事は本当に演技だったの…?


思い出すたびに涙を流してしまう…。


あたし、こんなに涙もろかったんだ…。


違う…。


藤堂君に恋をしたから…。


本気で藤堂君を好きになったから…。


だから、涙なんて出るんだ…。


「…ふぇ。」

それなら、恋なんて最初からするんじゃなかったよ…。

同居ごっこなんてするんじゃなかった…。










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