同居相手はまさかの！？

スカ！


「あー！また外れた…。」


(難しいな…これ。)


何度もバットを振るが、中々ボールに当たらない。


「はは、小野田下手だな。」


「笑わないで下さいよ〜！」


「ごめんごめん！」


あたし達はバッティングセンターに来ていた。


その時菅原課長が部屋に入って来た。


「え？菅原課長？」　


「ちょっと貸してみろ。」


そう言って、あたしの背後に回った。


(ち、近い！)


「まず、身体はもっとこっち向けて…」


(何か良い香りするんだけど！ってバカ！あたし教えて貰ってるのに…何考えてんのよ！)


小野田課長の吐息があたしの耳に掛かる。


「で…バットはしっかり握って」


そう言ってあたしの手の上からバットを握った。


その時…藤堂君に初めて料理を教わった時の事を思い出した。


藤堂君ならここで


「茉莉、下手くそ。貸せよ。」


そう言ってぶっきらぼうに良いながらも教えてくれたんだろうな…。


その時


「小野田？どうした？」


(あ、あたし…菅原課長の前で何で藤堂君の事…。」


「す、すみません！」


(集中しなきゃ！)


「…もっかいこれで打ってみ。」


「は、はい！」


菅原課長に言われ、あたしはもう一度バッドを構えその場に立った。



その時


ヒュ


ボールが来た。


(…来た！)



「小野田！ボールをよく見ろ！」


(ボールをよく見る！)


そして、あたしはバットを振った。


その時


カキーン！


バットがボールに当たった。


「やった！」


ボールは見事バットに命中しホームランと書かれた看板に当たった。



「小野田！ホームランだ！」


「菅原課長ありがとうございます！」


「良くやったな！」


「はい！」


そしてあたし達はハイタッチをした。


「やっぱ、ストレス発散にはこれだよな！」


そう言った、菅原課長の笑顔は眩しかった。


あたしは、その笑顔に救われた。