臆病なきみはうそをつく

***

「……やった……!ランキング10位だ……」


次の日の朝、小説アプリを開くと、例の悲恋ものがトップ10にランク入りしていた。

そのためか、イイネもコメントも格段に増えている。


「……やった……やった………!よし、今日からまた更新を増やそう」


こうして結果が出ると、俄然やる気もわいてくる。

早速、私は朝ごはんの時間をはぶいて、朝から更新にはげんだ。


ちょうど、ストーリーもクライマックスに差し掛かるところ。

翔太の病気が進行し、悲しい結末へと進み始める。

今の勢いを落とすことなく、ラストまで書いていきたい……。

楽しみもあるが、同時に少しプレッシャーも感じていた。



「……んー。でも、このままじゃ盛り上がりが足りないかも。もうちょっと、何かスパイスがあれば……」


ランキング上位は、人気作だけあって入れ替わりも激しい。

ましてや10位だと、ちょっとでも進行がたるんでいると、すぐに落ちてしまうかもしれない。


あと少し、ストーリーを盛り上げる何かがあれば……



「………あ」


ふと、思い浮かんだ。


冬室くんと、バスケの話。


……これを、上手く小説の話に組み込めたら。
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