臆病なきみはうそをつく
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「……やった……!ランキング10位だ……」
次の日の朝、小説アプリを開くと、例の悲恋ものがトップ10にランク入りしていた。
そのためか、イイネもコメントも格段に増えている。
「……やった……やった………!よし、今日からまた更新を増やそう」
こうして結果が出ると、俄然やる気もわいてくる。
早速、私は朝ごはんの時間をはぶいて、朝から更新にはげんだ。
ちょうど、ストーリーもクライマックスに差し掛かるところ。
翔太の病気が進行し、悲しい結末へと進み始める。
今の勢いを落とすことなく、ラストまで書いていきたい……。
楽しみもあるが、同時に少しプレッシャーも感じていた。
「……んー。でも、このままじゃ盛り上がりが足りないかも。もうちょっと、何かスパイスがあれば……」
ランキング上位は、人気作だけあって入れ替わりも激しい。
ましてや10位だと、ちょっとでも進行がたるんでいると、すぐに落ちてしまうかもしれない。
あと少し、ストーリーを盛り上げる何かがあれば……
「………あ」
ふと、思い浮かんだ。
冬室くんと、バスケの話。
……これを、上手く小説の話に組み込めたら。