臆病なきみはうそをつく
次の日。
学校に、冬室くんの姿はなかった。
担任から転校したことを聞かされた。
目と耳の治療で、優れた設備の病院があり、その近くに引っ越したらしい。
それは前から決まっていたことだけれど
本人の希望で秘密にしていた、と
担任は告げた。
クラスは騒然とする。
誰もそのことを知らなかったようだ。
彼と普段から仲良くしていた男子たちも聞いていなかったみたいで、心から驚いていた。
そしてとても寂しそうだった。
私は………
彼が突然私に告白してくれたわけも
球技大会で、好きだったバスケをやりたがった理由も
その球技大会に参加できなかった彼の悔しさも
その後、クラスのみんなに見せた複雑な笑顔の理由も
そのときになり、ようやく理解できたのだ。