わたしがまだ姫と呼ばれていたころ
「じゃ、お先に失礼しまーす」
「お疲れさまでしたー」
みんなを残し、ひとりだけ先に上がった。
ロッカーで着替えながら、この後どうしようかなと考えた。
いつもならコンビニで何か買って、マンションに帰る。
外に出て、最初に見た人が男の人ならデニーズに行こう。咄嗟に決めた。
通用口から外に出る。
あ、男の人だ!
心なしか喜んでいる自分自身に、少し驚く姫。
今年は、何か違うかもしれない。
新しい年、新しい居場所ができるような気がした。