わたしがまだ姫と呼ばれていたころ
「姫ぇ~。飲んでるぅ~?」
リナが上機嫌でワイングラスを片手に持ちながら、ジョンとの間に割って入った。
「うん、飲んでるよ」
「ジョン~。姫のこと、口説いてたんでしょ~」
「口説いてた」
「もう~、ジョンは正直なんだからぁ」
「リナ、酔っ払ってる? 大丈夫?」
姫の心配をよそに、リナはそれだけ言うと、ニコニコしながらチェックのシャツの男のほうへ戻って行った。
「リナ、なんだったんだろ?」
「俺が姫に本気だって、バレちまったみたい」
「何言ってんのよ、ジョン」
「リナってさ、俺の唯一の女の親友なわけ」
「リナはわたしの親友でもあるわ」
「じゃ、ちょうどいいじゃん。親友同士」
「ジョンって、リナの元カレ?」