わたしがまだ姫と呼ばれていたころ

「違うよ。俺とリナは付き合ったことない。俺の好み、リナは知ってるし」

「そう」

「実はさ、今日、リナがセッティングしてくれたんだ」

「セッティング?」

「そう。姫に会わせてって、前から言ってたから、俺」

「そういうこと、今言う? なんだか興ざめだわ」

「うん、それが俺の正直で、イイところなんだな」

「そういうことも、普通自分で言わないよね」

姫は笑いだした。
リナがこちらを見て微笑んでいた。

「みなさーん、そろそろお開きになりまーす」

リナの明るい声が、響き渡った。

「二次会、行く人は外で待っててくださーい。ここで解散にしまーす」

みんなコートを着たり、トイレに行ったりして帰り支度を始めた。


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