わたしがまだ姫と呼ばれていたころ
「姫、今、どこ?」
リナからだった。
「駅のほうに向かって歩いてるところ」
「ジョン、いいヤツだからさ」
「え?」
「ジョンから連絡先、もらった?」
「うん」
「なら、いいの。もし、アイツが渡しそびれてたら、姫に教えてあげようと思って電話したの」
「びっくりした」
「ごめん、驚かせて。ジョンって、ああいうルックスだし、軽そうに見えるけど、根はすっごい真面目で、ほんといいヤツなんだ」
「うん」
「姫のこと、前から紹介してって、ずっと言われてて……。でも、いきなりふたりで会うのは嫌だろうし、それに、姫がジョンのこと、気に入るかもわかんないし」
「で、新年会に誘ったってわけ?」
「うん。今日、ふたりのこと見てて、合いそうって確信した」
「もう、リナは昔っからお節介なんだからぁ」
「まんざらでもなさそうだったけど」
「うん、まぁね」