わたしがまだ姫と呼ばれていたころ
「じゃ、連絡してあげて。ジョン、待ってると思うよ」
「二次会には行かないの?」
「うん、ジョンは先に帰るって言ってた」
「わかった。じゃ、かけてみる。リナ、ありがとね」
「うん、じゃ、おやすみ~」
「おやすみ~」
リナとの電話を切って、手に持っていたコースターの電話番号にかけてみた。
数回の呼び出し音のあと、「ハイ」と、静かな声でジョンが出た。
「あ、あの……。姫だけど。今、どこ?」
「うしろ」
「うしろ?」
「姫のうしろ」