大切なもの



すると坂田があたし達の存在に気付きこっちに向かってにっこり笑ってピースをした。



あたしはとっさにベランダの壁に引っ込んでしまった。



「こらーーー!!
坂田ぁーーー!!」



顧問が坂田を大声で怒鳴っている声が聞こえた。



あたしはベランダの壁から頭だけをひょこっと出して校庭を覗いた。



「すーーいませーーんーー」



坂田と顧問が追いかけっこをしてるところだった。



野球部の顧問は足が速くて有名だ。



「おっと坂田速い!しかし顧問も負けてない!いや〜互角ですね〜」



沙世が実況者のように言う。



「田山佳穂は誰を見ていたのか〜♪」



沙世はニヤッと笑う。



『えっあっ!べっ別に坂田なっなんか見てないからねぇっ!』



「………動揺しすぎ」



『………//』



沙世があたしの前にしゃがんだ。



「佳穂は…坂田が好きなんでしょ?」
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