あなたの運命の人に逢わせてあげます

「……そう言えば、今日ひさしぶりに『岡嶋』って呼ばれたなぁ」

美咲はきんぴらごぼうを食べながら言った。

今の彼女にとって「岡嶋」は旧姓だから、今は旦那の姓で呼ばれているのかと思うと、胸がムカムカしてきた。

「そんなに呼んでほしければ、また『岡嶋』って呼んでやるぜ」

そう言っておれは、ふわふわのだし巻き玉子を頬張った。

……美味(うま)い!毎日食べたい‼︎

思わず表情に出てしまったのか、

「あたしのだし巻き玉子、友達とかから『居酒屋で出せるね』って言われるくらい好評なんだよ」

美咲がドヤ顔で言う。

この先、おれとケンカでもした際には、このだし巻き玉子が強力なアイテムになるということに気づいた顔だ。

まずいな……この情勢不利を打開せねば。

< 115 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop