あなたの運命の人に逢わせてあげます
『そんなこと、どうでもいいじゃん……それより、いつだ?いつ会いに行くんだよ?』
佳祐はおれの言葉をろくに聞かず、じれったそうに訊いてきた。
「うーん、それが行くかどうか迷ってるんだけどさ」
寝起きの、伸びかけたヒゲでざらついた顎を撫でながら、おれは正直に答えた。
『あ、その日って平日なのか?仕事あるから迷ってるとか。確かに有給取ってまでっていうのはな……』
佳祐がため息混じりに問う。
「いや、土曜日で休みだけど?」
おれはこともなげに答えた。
『はぁ⁉︎……おまえ、マジかよ。なにを迷うことがあるんだ?』
佳祐は絶句した。
しかし、すぐに気を取り直して、
『行けよ!……行かないとおれたちの結婚式に呼ばねえから‼︎ 』
と叫んだ。
別におまえたちの結婚式に呼ばれなくても、おれは一向に構わない。祝儀を出さなくていい分、むしろ、ありがたいくらいだ。
『あ、もうこんな時間かよ。今日は式場との打ち合わせがあるんだ。……とにかく、絶対行けよ!わかったな‼︎ 』
そう言うや否や、あわただしく佳祐からの通話が切れた。