あなたの運命の人に逢わせてあげます

「いらっしゃいませー」

インド人らしき男の店員が大きな声で挨拶した。

しかし、すぐにすまなそうな顔をして、

「今、ランチタイム、いっぱいねー」

と言った。

店の中を見渡すと、なるほどテーブルはすべて埋まっていた。

「……まいったな」

おれは途方に暮れた。

それは、テーブルが満席だったからだけではない。

この店の中のどこに、おれの「運命の相手」がいるのか、皆目わからなかったからだ。

メールにはこの店の場所しか記されてなかった。

友人はそこに元カノがいたからよかったものの、おれはいったい、どうやってこの中から見つけ出せっていうんだ。

< 27 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop