あなたの運命の人に逢わせてあげます

「はぁ?」

おれは間抜けた声を出した。

ステーショナリーに特化したネット通販に勤務するおれは、新商品に向けての販促に関する企画書を仕上げるために、一人会社で残業していた。

PCを操っていたにもかかわらず、手にしていたコンビニで買ったスタバのコーヒーを、危うくキーの上に落っことすところだった。

「おまえ、頭大丈夫か?幸せボケでどうにかなっちまったんじゃねえのか⁉︎」

思わず大声を上げていた。

しかし、直後にあることに気づき、一転して声を下げた。

「おまえがあの子のことを忘れられないのはよくわかる……けどさ、悪いことは言わないからさ……」

おれは諭すように我が友に語りかけた。

「……ヘンな宗教に入ってる女だけはやめとけ」

スマホの向こうから深ーいため息が聞こえてきた。

『……だから、おまえには言いたくなかったんだよ』

不貞腐(ふてくさ)れた声だった。

< 3 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop