あなたの運命の人に逢わせてあげます
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小さなアパートでの母子二人の生活を維持するために、母親はパートに出るようになった。

やがて、母親に恋人ができた。

勤め先で知り合った、八歳も年下の男だった。

最初は微妙な年頃のおれの顔色を窺っていた男だったが、そのうちだんだん慣れてきて家に入り浸るようになった。

「まだ結婚経験のない二十代半ばの息子が、年上の子持ちの女に(たぶら)かされた」と思い込んだ男の親が、母親を訪ねて怒鳴り込んできた。

母親は男の親に「別れる」ことを約束させられたが、それを聞いて逆上した男は、親と縁を切って家に居座るようになった。

まもなく、母親はその男の子どもを身ごもった。

母はまだ三十代半ばの「女」だったのだ、ということをおれは思い知らされた。

母と男は結婚し、男はおれの「父」になった。

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