あなたの運命の人に逢わせてあげます
そこへ、おれの「タンドリーチキン&キーマカレーのセット」の銀色のトレイがやってきた。
カレーだけじゃなく、タンドリーチキンが二ピースついていたので、結構なボリュームだ。
「岡嶋、一本やるよ」
おれはタンドリーチキンを美咲の銀色のトレイの上へ乗せた。
「ありがと。実は、食べてみたかったの。でも、二本なんてとても食べられないと思って」
美咲はうれしそうに微笑んだ。
そして、フォークとナイフを器用に動かして、タンドリーチキンの骨から肉だけを削ぐように切り取った。
「あ、スパイスがすっごく効いてて、やっぱり美味しい。ね、魚住くん、海老もつけて食べてみて」
美咲は自分のトレイの上の銀色のカップをテーブルの真ん中に置いた。
おれはちぎったナンをそこへつけて食べてみると、キーマよりもまったりしていて、甘みがあった。
「お、美味いじゃん。キーマも食えよ」
とおれが勧めると、美咲はおれのトレイの上に手を伸ばし、ちぎったナンを銀色のカップにつけた。
それを口に入れ、満足げに味わう美咲は、
「……イタリアンにしなくてよかった」
と、つぶやいた。