あなたの運命の人に逢わせてあげます
美咲の大きなトートバッグをコインロッカーに預けた後、映画のチケットを買い、入り口のところで次の上映時間を待った。
あの頃はどうだったとかいう思い出話や、誰々が今どうしてるとかいう近況話など、互いの口から次から次へとあふれ出てきた。
だんだんあの頃の調子が戻ってきたのを感じていたら、突然、美咲がぼやいた。
「……首、痛い。上ばっかり向いてるから」
おれは美咲の顔を見下ろした。
実はテーブル席に座っていたときからそうだろうな、と気づいてはいたが、美咲は背が小さかった。
たぶん、一五〇センチ台半ばの身長だろう。
おれは一八〇センチあるから、美咲の頭頂部の団子結びは肩の上の辺りだ。
「魚住くん、なんで、そんなに背、伸びたのよ」
美咲が口を尖らせた。
背が高いのは羨ましがられこそすれ、咎められたのは初めてだ。
「岡嶋、おまえ、あれから背、伸びてねえんじゃないか?」
おれは屈んで美咲に目線を合わせ、笑いながら彼女の広めの額を人差し指でつんっと突いた。
すると、ものすごい目で睨まれた。