あなたの運命の人に逢わせてあげます
そのとき、入り口から人がこぼれ出るように流れてきた。前の上映が終わったようだ。
「入るぞ」
おれが促すと、美咲はまだ不機嫌な顔をしていた。
おれは、美咲の華奢な肩に手を置き、ぐっと引き寄せた。
びっくりした美咲はおれを見上げた。
「……ほんとは、ちっちゃなヤツの方が好きなんだ、昔から……」
身を屈めて美咲の耳元でささやいた。
すると、今度は背伸びした美咲が、おれの耳に口を寄せて、
「……あたし、ほんとは背の高い人好きだよ、昔から……」
聞き取れるかどうかわからないくらいの、小さな声でつぶやいた。