あなたの運命の人に逢わせてあげます

「金属アレルギーで指輪はできないってことにしてるんだ……夫には」

美咲はアラビアンナイトみたいな天蓋を見つめていた。

「本当は、したくないだけなんだけど……」


「……旦那とは、うまくいってないのか?」

おれは一縷(いちる)の光が差し込んできたような気がして、美咲に尋ねた。

「表向きはうまくいってるように見えるでしょうね」

美咲は(うつ)ろな笑みを浮かべた。

「悪い人じゃないのよ。会社では社員の人から慕われてるし……頼れる人だと思ったんだけど……」

彼女は目を伏せた。

「一回りも歳が違うし上司だった人だから、いつまで経っても『対等』じゃないの。
……彼は理知的で言うことはいつも正論なんだけど、そのとおりにしていればきっと間違いはないんだろうけど……なんか折り合えない、違和感があって……一緒に家庭を築いていくって感じがしないの……」

おれはただ黙って彼女の話を聞く。

「……一緒に生きてるんだもの……相手に支えられて守られてるばかりじゃなく、自分も支えて守ってあげたいのに……」


そして、美咲は言いにくそうにつぶやいた。

「それから……あたしが……不感症だから……
彼を満足させられないから、ってのもあるな……」

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