不機嫌なジェミニ
ジンさんの車に乗り込み、私が気に入っていると話したカフェでブランチにする。

オープンテラスの席に明るい日差しが降り注ぎ、今日はデート日和だ。
カップルが多くて結構混んでいる。

ジンさんはコーヒーにサンドイッチ。私はカフェオレにワッフル。

「美味しーい!」とイチゴとクリームたっぷりのワッフルを頬張って声をあげると

ジンさんはテーブルに肘をついて顎を乗せ、楽しそうに私を見つめているみたいだ。

「どうかしましたか?」

「昼間にデートって…やっと、恋人同士みたいだから…」

柔らかく微笑まれると、やっぱりドキドキする。

「トウコ、俺のことすき?」

「もっ、もちろんです」と赤くなって俯くと、

「もう少し、態度で示してくれると、安心出来るんだけどね。」

「…」私がワッフルを口に入れながら、首をかしげると、

「あーん」と言いながら口を開ける。


…食べたいの?かな?

私がワッフルを差し出すと、パクっと口に入れ、ニコニコする。

「美味しい…ですよね」と確かめると、

「トウコに食べさせてもらえるとなんでも美味いよ」とまた口をアーンとあける。

…イヤ、そういう感想は反則だから。

私はゆでダコのように赤くなって口を開けたままのジンさんの口にワッフルを運んだ。
< 111 / 159 >

この作品をシェア

pagetop