不機嫌なジェミニ
「うわ、大っきい!」と私がキリンの柵の前で後ずさると、ジンさんの胸にドンとぶつかる。

「うん。思った以上にデカいな」
とクスクス笑いながら手を繋いでいない右手を私のウエストに回して抱きしめる。

「子どもの時見た時も大きいって思ったけど、大人になっても同じ感想なんですねえ」と呟くと、

「まあ、トウコの背は小学生とそう変わらないみたいだし…」と小学生高学年くらいの集団を横目に見ながらジンさんは呟く。

「えっ?そんな事ないですよー。ちゃんと大きくなりました。」とジンさんお手を引いて歩こうとすると、

「まあねえ。俺には十分かな」と私の胸をさらっと撫でて笑う。

うっ

「…どこ触ってんですか…」

「トウコの育ったオッパイ」

「こんな所で触らないでください!」とツンと前を向いて歩き出すと、


「えー。どこならいいんだよ?会議室?マッキンレー?それとも給湯室?」

「だっ、ダメです!」

「…トウコはワガママだな」

私が振り返って睨むと、ぎゅうと抱きしめ、

「やっとこっち向いたね。」と私の顔を覗き込んで耳元で囁く。


だから…

その甘い顔は反則ですってば…


「…ライオン見に行きましょう」
と私はジンさんの腕を抜け出し、ジンさんの手をぎゅっと握って、がむしゃらに歩き出した。





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