不機嫌なジェミニ
鮮やかに色を変えるアレキサンドライトを見つめていると

「家に電話」とジンさんがもう一度言うので、

「は、はいい!」

とスマホを取り出し、家に電話する。

どうも、上司と部下って感じが抜けない…



母に紹介したい人がいて…今からいってもいいかな?と言うと、
急なのね。と驚いた様子だったけど
えーと、一緒に暮らそうと思って…と言うと、
お父さんもいるからと嬉しそうに了承してくれた。

高速道路を使うと、2時間ほどで実家に着く予定だ。
サービスエリアでジンさんは車を停め、
カフェで軽く食事を済ませてから行くことにした。

窓の外の景色を見ながらサンドイッチと、カフェオレで昼食にする。

「きっとご両親も慌てているだろうから…少しゆっくり行こう」

とジンさんは私の顔を覗く。


「すっごく驚いているのかもしれませんけど…
私にいつまでもボーイフレンドができなかったから、
心配もしていたんです。
…自分たちは子どもの頃から一緒にいて、結婚したから…」

「年の近いご夫婦か…やっぱり14歳も年上だと反対されるかな…」

とジンさんはブラックコーヒーを飲みながらため息をつく。

「そんな事もないんじゃないかな。
私がボンヤリしてるから…
しっかりしている男の人が良いって思ってたみたいだし…」

「…うん、考えても仕方ないな。
俺は俺だし。
トウコを愛してるってわかってもらえればいいか
…後は、年上の利点をアピールか…」

とあっさり考えを切り替えたみたいだ。


ジンさんは切り替えが早くて、いつも前向きだ。
私がグズグズと悩むタイプなので、そういうところが好きだな。とおもう。



私が見つめていると、

「なに?キスしたくなった」

と急に私の耳元で囁いたりして、私の顔を赤くしたりもする。


ジンさんは楽しそうに微笑んで、私の頭をクシャッと撫でた。












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