不機嫌なジェミニ
5日間ののんびりした休日。

私達は何も予定を決めていなかったので、

朝起きて、朝食を食べながら本日の予定を考えたり、ただ抱き合って過ごしたりして過ごした。

「来年は長く休みをとって海外に行こうか?」

どジンさんは部屋のテラスに運んでもらった朝食を食べながら私に笑いかける。


「今も帰りたくないって思っているのに…そんなに長くお休みしたら、もっと帰りたくなくなっちゃうから、5日くらいがいいような気がします 」

と顔をしかめて返事をすると、

ふふと私の頭をくしゃくしゃにして、

「トウコは欲がないな」

「欲張りですよ。
休みの間はずっとジンさんを独り占めなんですから…」

「もう一回ベッドにいく?」

とジンさんは私の顔を色っぽい目つきでみる。

「だ、ダメです。
さっきは琉球ガラスのお店に連れて行ってくれるって言ったじゃないですか?」

「そうだった。
工房も近くにあったから、見せてもらえたら、見てみたいよな」

とジンさんは笑ってコーヒーを飲んでいる。

私は少し安心して、デザートのパイナップルを口にいれる。

危ない危ない。

もう少しでベッドに逆戻りのところだった。
ここに来てからのジンさんは
気が向いたらすぐに私をベッドに押し倒す。

観光やご飯にはほとんど興味を示さない様子なのだ。

ただ誰にも邪魔をされずに
2人きりで過ごしたい。って
そう思っているらしい。

ジンさんは、何度も来ているリゾートなんだろうけど
私は珍しい物ばかりで
サトウキビばたけも、夕日が沈んでゆく岬も…
それに、水族館だって…
まだまだ、見たいところがたくさんあるのだ。


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