不機嫌なジェミニ
沖縄で過ごす最後の朝。

私達は裸のままで重なり合うようにして眠っていた。

部屋が明るくなって目覚めて
ベッドの上に起き上がると、ジンさんも目を覚まして起き上がって窓辺に立ち、窓を大きく開ける。

ひんやりとした海風が部屋の中に吹き込んでくる。

朝だ。


「トウコ、見てごらん」

私がシーツを身体に巻きつけ、ジンさんの隣に立つと、

雲の隙間から登ったばかりの太陽の光が
海に真っ直ぐ光の柱をいくつも落としている。

「綺麗」

「天国の階段って言うんだ」

「初めて見ました。とても美しいですね」



私達は長い間黙ったままで光の柱をみつめている。

波の音しか聞こえない。

空と海。

私は自然に涙が頬を伝う。

この瞬間
愛する人と
美しい景色を見ることが出来て
とても嬉しい。


ジンさんは私の肩をそうっと抱きしめ、

「トウコと一緒同じ景色を見ることが出来て幸せだ」

と私の頭に唇を付ける。

私はジンさんの手を握りしめ、

光の柱を目に焼き付けた。
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