不機嫌なジェミニ
「トウコ、おめでとう」

とその夜、ジンさんはシャンパンを開けて、ベッドの中でお祝いしてくれた。

私に口移しで、シャンパンを飲ませながら、私の身体に唇を付ける。


「…次点…でしたけど…」

「トウコのデザインが認められたんだよ。
良い作品だったと思う。
ガラスの中の気泡も良かった。
海がガラスのなかにあると思ったよ。」


「ジンさん…私…」

留学した方が良いよね。と続く言葉をジンさんは唇で塞いだ。

私はジンさんにふさわしいと自分になりたいと…
デザイナーとして努力すると…

そう決めているけれど…



2年間離れ離れになる。


…ジンさんのいない生活はもう、考えていなかった。

ずっと一緒だと思っていた。

きっと…

自分で答えを出す事をジンさんは望んでいるよね。



私はジンさんに抱かれながら、涙がいくつも流れた。

ジンさんは黙って私の涙を唇ですくい取りながら

私が疲れて眠ってしまうまで私の体を離さないで

愛してると

囁いた。
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