不機嫌なジェミニ
「トウコ、一緒に留学する男。
結構、女グセが悪いって噂だけど…」

…なんでそんな事を気にしてるの?

「…私はジンさんしか見てません」

「どうかな?
言葉が通じないところに行ったら
助け合ったりして、仲良くなるんじゃないの?」

「私が好きなのはジンさんだけです!」

「本当かな?
俺と離れようとしてるんじゃない?」

「一緒にいたいに決まってるじゃないですか!?
なんで、そんな、意地悪な事を言うんですか?」


「俺を愛してるって誓える?」

「誓えます。私にはジンさんしかいません」


「だよなあ。
なんで一緒にいてって言わねーの?」

とジンさんは私の髪をクシャクシャと撫で、くすんと笑う。

なんでここで笑うの?



「…そんな事…言えるわけ…」

「もう逃がさないって言ったろ。
俺は待たないよ。
一緒にイタリアに行く」

「…?
…一緒にアルテミスに留学するの?」



「何言ってる?
俺はローマに住んでGeminiのデザイナーとしての仕事をするんだ。
郊外に家も借りた。
一緒に暮らして、そこからトウコはアルテミスに通うんだよ。」
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