不機嫌なジェミニ
初孫が帰国すると、

大喜びのジンさんのご両親が20席あったビジネスシートを半分買い占め、

(全部買う。と電話で言ったお父さんを私が必死に止めた。
だって…乗りたい人が困るでしょう。お金持ちは本当に困る。
レンさんと恭子さんの間には、もうすぐ産まれてくる双子がいる。とても楽しみだ。)

双子が自由に歩き回れるように真ん中の通路を挟んで半分のスペースが確保され、


シートベルトのサインが消えると、

双子はお気に入りのぬいぐるみとマグを手に座席の間を歩き回り、

キャビンアテンダントさんと、通路を挟んだお客様に愛想を振りまいてアイドルになり、

室内を暗くする頃には双子もぐっすり夢の中だった。

やれやれ。

とりあえず、無事に眠ってくれて良かった。




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