不機嫌なジェミニ
「トーコちゃん、今日も就活?」と私の顔をぼんやり見る。
「…うん。」
「まだ、内定1個も出てないんだっけ?もうすぐ卒業なのに。」といつもながらハッキリ言う妹に顔をしかめてみる。

「…うん。販売を希望すれば就職できそうなんだけど…」
「トーコちゃん、頑張って。
トーコちゃんが実家に帰ったら、
私がここの家賃全部払わなくっちゃならないじゃん。」

「…じ、実家に帰るつもりはないけど…」

「だって、お母さんに就職出来なかったら、帰ってお見合いしろって言われてたじゃん。」

「…まだ結婚なんてしないし…絶対東京で就職するもん。」

「意地を張ってないで販売にしな。
トーコちゃんって変なところで融通が効かないんだから…
ジュエリーデザイナーなんて狭き門。なんでしょ。」

…わかってる。って。

「…今日の面接…ダメだったら…考えるよ。」と俯いてため息をつく。

あきらめが悪い事くらい…自分でもわかってる。
販売の仕事をしながら、デザイナーをめざせばいいと割り切ればいいだけ…
でも、私がしたい仕事は販売じゃない…
と心の中で言ってみるけど…

またもや、
はあああーと大きなため息が出た。




< 2 / 159 >

この作品をシェア

pagetop