不機嫌なジェミニ
翌週。
デザイン画をジンさんに見せる。

またもや1枚だけ残って後はバツだ。

「金属で加工することを念頭に置いて、わかりやすい迷いのない線を引け。
1つだけ作るなら別だが…
商品として製作されるんだから…
まあ、合格はこれで2点。」とまた、私の髪をわしゃわしゃ撫でる。

「もう!やめてください!」と髪を直していると、

ああ、そうだ。
と自分のデスクに戻って細長いショッキングピンクの箱を持ってくる。

「『クイーン マリア』のマカロン!!」
と思わず、声がでてしまった。

私は洋菓子が大好きだ。…まあ、女の子は大抵そうだと思うけど…

「さっきもらったんだ。そんなに人気か?」

「日本に初上陸のスイーツです!!2時間並ばないと買えません!」と箱に釘付けになると、

「へえ。」

とジンさんは私の顔を眺めた後、
リボンを解いて、箱からショッキングピンクのマカロンをつまみ上げ、

「『ハトこ』と交換。」とニッコリする。

へ?

「い、嫌です。」と言うと、ジンさんはマカロンを自分の口に入れ、

「ラズベリーだな。これは。」と言ってもうひとつレモン色のマカロンを取り出す。

「マカロン、欲しくねーの。」

「ハトこは渡しません。」とううと唸って睨み付けると、

「じゃあ、お手。」

お、お手?

満面の笑みで私に手を差し出す。














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