不機嫌なジェミニ
く …、
くそう。

…絶対あのマカロンは美味しいよね。



『ハトこ』じゃなければ…

私は真っ赤な顔で、ジンさんの手に手を乗せると、

ジンさんは私の手をきゅっと握って、反対の手に持っていたマカロンを私の唇に付ける。

…このまま食べろってこと?


私が思い切ってぱくんと口に入れると、

マカロンは上品でサクッと口の中で溶けていく。

「美味しー!!」と掴まれていない手で口を押さえると、

「2枚目合格のご褒美。コーヒー淹れてくれ。
みんなにも分けてやれよ。」
と握っていた手にマカロンの箱を乗せてくれ、またもやわしゃわしゃと私の髪を撫でた。



「やってられないな。」と私達を見ていただろうセイジさんがふてくされた声を出し、

「セイジには私がいるでしょ。」

「僕は蘭子さんと付き合ってないけど…」

「そうだったかしら。」
と蘭子さんがセイジさんにニッコリしているのを私はローズ色のマカロンをもうひとつ口に入れながら目撃した。

「ジンさんにマカロン頂きました。コーヒー淹れてきます。」と私は機嫌よく部屋を出る。

ブラックはジンさんとセイジさん。
ミルク入りは私と蘭子さん。

私はつぶやきながら部屋を出る。



…でも…なんで、ジンさんは『ハトこ』を気にいったんだろう?

と涼しい顔でデスクに戻ったジンさんを振り返ったけど、もちろん何もわからなかった。
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