不機嫌なジェミニ
私がたまに行くチェーンのラーメン屋に一緒に入り、
カウンターに並んで座った。

高級なスーツ姿のジンさんは少し浮いた感じだけど、

本人は気にしていないようで上着を脱いで、無造作に隣の椅子に置き、

「おまえのオススメを一緒に頼め。」と言うので、
野菜がたくさん入った塩味のタンメンを注文すると、

「俺は大盛りにしてくれ。」と店員に頼んでいる。

すぐにラーメンはやって来て一緒に手を合わせて熱々のラーメンをすする。

「冬はラーメンですね!あったまります。」と言うと、

「あっさりしてて美味いラーメンだな。
トウコ…あったまってきたか?」とジンさんは急に私の頬に手を当てる。

私は頬に触れる大きな手の感触に驚いて箸が止まるけど、

「うん。大丈夫だな。」と安心した様子ですぐに手を離し、ラーメンに戻っていった。

…いや、
大丈夫じゃない。

大人の男の人にこんな事をされた事はない。
…結構ドキドキした。

と私はその後ラーメンを睨みながら麺を啜った。
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