不機嫌なジェミニ
…私が目指すのは身近なジュエリーかな…
美しいものが全て手の届かないものとは限らない。
私の持っている数少ないジュエリーの中で1番好きなモノは
鳥がモチーフになったシルバーのブローチだ。
大きく羽を広げた鳥が大空へと連れて行ってくれる気がした。
近所の大学祭で気に入って母に買ったもらったもの。
お守りにように布製のペンケースに付けてある。
私がジュエリーデザイナーを目指すきっかけをくれたもの…なんだけど
…どうやらジュエリーデザイナーの道はとても険しそうだ。
「あー…」とテレビをぼんやり見ていた香澄が声を出す。
「?」
「トーコちゃん、今日の占いビリだ…」
私がテレビに目を向けると、情報番組の最後の星占いのコーナー
『残念。今日の12位は双子座のあなた。同じ双子座の異性に注意しましょう。
面倒な事になってしまうかもしれません。』
と少し小首を傾げ、顔をしかめた女性アナウンサー…私は双子座だ。
『今日も、1日頑張りましょう』とパッと切り替わった笑顔で女性アナウンサーは手を振る。
…双子座の異性…
不吉な予感がする…
『Gemini Diamond』の社長って明らかに双子座の異性だったよねえ。
「…頑張ればいいんでしょう。頑張れば…」とブツブツ言いながら食器を片付け、厚いコートを羽織ってマフラーを巻き、カバンを持つ。
「…トーコちゃん、ファイト。」と香澄はまたあくびをしながら、ベッドに戻るようだ
「行ってきまーす。」
と誰もいない玄関で口癖の言葉を言ってドアの鍵をかけ、
大きな白いため息を吐いてから築20年のマンションのエレベーターに向かった。
美しいものが全て手の届かないものとは限らない。
私の持っている数少ないジュエリーの中で1番好きなモノは
鳥がモチーフになったシルバーのブローチだ。
大きく羽を広げた鳥が大空へと連れて行ってくれる気がした。
近所の大学祭で気に入って母に買ったもらったもの。
お守りにように布製のペンケースに付けてある。
私がジュエリーデザイナーを目指すきっかけをくれたもの…なんだけど
…どうやらジュエリーデザイナーの道はとても険しそうだ。
「あー…」とテレビをぼんやり見ていた香澄が声を出す。
「?」
「トーコちゃん、今日の占いビリだ…」
私がテレビに目を向けると、情報番組の最後の星占いのコーナー
『残念。今日の12位は双子座のあなた。同じ双子座の異性に注意しましょう。
面倒な事になってしまうかもしれません。』
と少し小首を傾げ、顔をしかめた女性アナウンサー…私は双子座だ。
『今日も、1日頑張りましょう』とパッと切り替わった笑顔で女性アナウンサーは手を振る。
…双子座の異性…
不吉な予感がする…
『Gemini Diamond』の社長って明らかに双子座の異性だったよねえ。
「…頑張ればいいんでしょう。頑張れば…」とブツブツ言いながら食器を片付け、厚いコートを羽織ってマフラーを巻き、カバンを持つ。
「…トーコちゃん、ファイト。」と香澄はまたあくびをしながら、ベッドに戻るようだ
「行ってきまーす。」
と誰もいない玄関で口癖の言葉を言ってドアの鍵をかけ、
大きな白いため息を吐いてから築20年のマンションのエレベーターに向かった。