不機嫌なジェミニ
「トウコちゃん、トウコちゃんがジンと木村さんの関係を心配するのは当然よ。
当たり前じゃない。あんなオンナが急に恋人だと思ってる人に抱きついたら、私なら、
喧嘩を売ってるところだわ。」と私に笑いかけ、

「ジンがトウコちゃんを心配してた。
キチンと説明したいから、待っててくれって。
ご飯には間に合いそうにないから、私と一緒に食べていて欲しいって。」

そうなんだ…

ジンさんに自分が忘れられていなかった事にとても安心して、
蘭子さんと一緒に部屋を後にする。

「セイジも来る?」と蘭子さんが振り返るけど、

「もう少し仕事する。もうちょっとで、ジンさんからトウコちゃんを引き離せたのにって
思った自分が嫌になる。」とセイジさんは少しつかれた顔をする。

「そういうところも嫌いじゃない。今回は相手が悪かったわね。
ジンはトウコちゃんをとても大事に思ってるから…ちょっと敵わないかな」
と蘭子さんが言って、私の手を取って廊下を歩きだす。

「セイジがトウコちゃんに決定的にフラれて
落ち込んでるところにそっと優しくする作戦。」と蘭子さんは私の耳に囁く。

蘭子さんって…強いな。

私はジンさんの元カノが現れただけでこんなに動揺してる。

まだ、付き合っているわけでもないのに…




私はジンさんの周りにいるオンナの人達に
いちいちヤキモチを妬いてしまうのかもしれない…
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