不機嫌なジェミニ
目を開けると、ジンさんの腕の中だった。

快適な空調の部屋の中で
薄いシーツとジンさんの身体に包まれている私は裸だ。
まだ、私の中は熱っぽく鈍く痛んで、ジンを覚えていて、
…朝方まで身体を重ねた記憶で顔から火を噴きそうだ。

恥ずかしくて、つい、腕を抜けでようとすると、
ジンさんに引き戻される。

「トウコ、おはようだろ。黙って逃げようとするなよ。」と不機嫌な声だ。

「べ、別に逃げようなんて思っていません。」とジンさんのキスの雨を顔に受けながら言うと、

「だいたい、動けんのか?
昨日は結構必死だったと思うぞ。」とくすんと笑われる。

え?それって?

「む、夢中だったから、よく覚えていません」

「俺の肩とか背中とか結構引っかかれてるんだけど…」

「ご、ごめんなさい」と小さくなると、

「別にいいよ。痛くねーし。
俺も結構無理させたし。
キスマークもたっぷり付けた。
もう、俺から逃げられないよ。」と私に甘くくちづけをする。

「…はい。」
とくちづけに応えると、途端に激しいくちづけに変わっていく。

「トウコ、今度は暴れんなよ」と私を組み伏せる。

「…ジンさん、ちょっとは手加減してください」とくちづけの間になんとか言ったけど、

「無理だな。トウコがイヤラシイ声を出すから…」


そんなことないって抗議は甘い喘ぎに変わっていく。

きっと、また爪を立てちゃうかも…

短く切っておかなくっちゃ

とジンさんの背中に腕を回した。





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