不機嫌なジェミニ
次に目を開けるとジンさんはベッドに座って熱心にスケッチをしていた。

「トウコ、起きたか?腹減ったんだけど…」と屈みこんで私の唇にキスをする。


ジンさんの手元のスケッチを覗くと私の寝顔だ。

困った人だ。

無駄に絵が上手い。
私の平坦な無防備な顔をスケッチしてどうしようというのか…

「ジンさん、盗撮っぽい。」と唇を尖らせると、

「スケッチだけど…」とくすんと笑って私を抱き起こし、バスルームに運ぶ。

バスルームの床に立つと少しフラつく。
足に力が入らないし、下腹部と、腰にはっきり違和感と疲労感がある。

「トウコ、すぐになれるよ。
これからいくらでも抱き合うんだから」と言いながらジンさんは頭にキスをしてからシャワーをひねった。


一緒にお風呂は拒否したかったんだけどなあ。

どうにも上手く動けなくてジンさんに任せるしかない感じだ。
恥ずかしくて俯いて立っているうちに
ジンさんが何も言わずに手のひらにシャンプーを泡だて、私の髪を洗い、

「トウコ、カラダは自分で洗わないと、また、俺にここで抱かれる事になるよ」と後ろから囁かれ、
慌てて渡されたスポンジで自分の身体をこすっていると、ジンさんはクスクス笑いながら私の背中を掌で洗ってくれる。

シャワーで泡を落とすと、バスタブの中に手を引いて座らせ、
ジンさんは自分の身体はブラシでゴシゴシ洗ってバスタブで私の後ろに沈みこみ、背後から私を抱きしめる。

「男に慣れてない感じも悪くない。」と耳に唇を付ける。
何度も耳にキスをされると、また、甘い声が出てしまいそうだ。

「あ、上がります!」と声を出すと、

「はいはい。」とまた笑った声を出して、私の手を引いてバスルームを後にした。

バスタオルで身体を拭くと、私の身体にはキスマークが散っている。

ジンさん付けすぎです。と心の中で文句を言いながら、
またジンさんに抱き上げられ、ベッドに戻った。
< 75 / 159 >

この作品をシェア

pagetop